「うん。 ・・・初めまして、キラ=Y=ザラと申します。 3年前までヤマトと姓を名乗っていましたが、パトリック小父様・・・義父様たちに引き取っていただきましたので、今はザラと名乗っています」
あの場所から僕を助けてくださったレノア小母様・・・義母様たちに、 いくら感謝しても足りないくらい。 ・・・あのことを知っても・・・変わらず僕を好きでいてくれる? ・・・アスラン・・・・・・・。
Everlastingly
「初めまして。 私はラクス=クラインですわ。 新しいクラスメートが女性の方で嬉しいですわ! 仲良くいたしましょうねv」
「初めまして、キラさん。 僕はニコル=アマルフィと申します。 アスランと知り合いなんですね」
ラクスとニコルはそれぞれ微笑みながらキラに自己紹介をしていた。ラスティたちが揃って紹介をしようとした瞬間、それまで黙っていたアスランだったがラスティがキラに触れそうになった瞬間に自分のほうへとキラの身体を引き寄せた。
「キラ、こっちにおいで? 俺が紹介するから」
「? うん」
アスランはニッコリと微笑みながらキラの持っていた荷物を持ち、今まで空席となっていたロッカーに荷物を入れた。
「キラ、キラのロッカーは俺の横だから。 ラクスの隣にいる銀髪がイザークジュール。彼はラクスの婚約者だよ。 で、その隣にいる金髪はディアッカ=エルスマン。 ・・・危ないから、あまり近づかないように。 その後ろにいるオレンジ色の髪がラスティ=マッケージ。 あと、ラスティとコンビを組んでいるミゲル=アイマン。 ・・・・お前ら、キラに手を出さないように」
アスランはキラの隣に戻るとニッコリと微笑みながら簡単にクラスメートを紹介していった。彼の表現の仕方に先に自己紹介を済ませていた2人はニコニコと微笑んで彼の発言を訂正することはなかった。
「なんでだ? キラちゃんの後見人がパトリックさんだと言うことだけだろう?」
最後のアスランの言葉に疑問を感じたのはみな同じ気持ちだったが、その疑問を代表してディアッカが尋ねた。
「当然だろう? 自分の婚約者を守るのは。 ・・キラ以外は本来、どうでもいいんだが・・・・。そうすると、キラが悲しむからな」
「・・・アスラン。 まだ、そんなこと言ってるの? ・・・!! あっ、ダメッ!!」
アスランはキラを後ろから包み込むように抱き込むと栗色の長い髪に触れるだけの口づけをした。そんなアスランの行動に慣れているのか、キラは抵抗することなくアスランに抱き締められた格好のまま苦笑いを浮かべた。しかし、キラの胸元にあるポケットから緑の物体が飛び出し、キラは抱き締められたまま視線だけをその物体に送った。
『トリィ!』
「・・鳥? いや・・・これは、鳥型のロボット?」
「・・・トリィ、降りておいで?」
突然飛び出してきたメタルグリーンのロボットに驚いたニコルたちに視線を送ることなく、アスランとキラの頭上を旋回しているトリィに優しく話しかけた。 ロボットはアスランの声に反応を見せると、アスランが差し出した指に止まり、『トリィ』と鳴きながら首をかしげた。
「・・・トリィ、だめだよ? ちゃんと大人しくしておかないと」
「まだ、持っていてくれたのか・・・」
「・・うん。 僕の大切な友達だもん」
アスランは自分の指に泊まっていたロボット・・・トリィをキラに差し出しながらキラに尋ねた。そんなアスランにキラは恥ずかしそうに頬を赤らめながら小さく頷いた。
「・・・お前たち・・今はHRだということを忘れているのか?」
彼らのやり取りに講師・・・ムゥ=ラ=フラガは少々呆れた声を出しながらキラを抱き締めたままでいるアスランに視線を送った。 フラガの視線を受け取ったアスランは渋々キラを離し、自分の席に着くと何かを思い出したかのようにフラガに提案した。
「先生。 生徒会に一枠開いているポストがありましたよね?」
「あぁ。 確か、副会長の枠が空白だったが・・」
「キラの実力はご存知ですよね? キラはあの難関と言われている編入試験を過去最高の総合を超えての編入です。 ・・・その実績は我ら生徒会に入れる人材と思いますが?」
「生徒会?」
「キラは知らないんだよね。 この学園の生徒会は学園側の干渉を受け付けないシステムになっているんだ。 学園内だけ、俺たち生徒だけが取り締まる自治会みたいなものだ。 そこの会長が俺。 このクラスのメンバーも全員執行部。 ・・・まぁ、そのほかにいろいろな委員会の都合で普通科の人間もいるけどね。 副会長は誰も任命していなかったんだ。 必要性がなかったって言うのもあるけど、俺が側に付けたくないって言うのが一番の理由」
アスランは苦笑いを浮かべながらキラの問いかけに答えた。
「まぁ、生徒会の執行部を決めるのはお前の一存だからな。 キラに関しては俺も言うと思っていたし・・・。 問題はない」
フラガはアスランの言葉に頷くと、HRが終わったとばかりに教室を出て行った・・・・・。
「僕が副会長でもいいの? アスの迷惑にならない??」
「迷惑なんか、ならないよ? キラだからなってほしいんだ。 それに・・一緒に帰るだろう? キラは1人にしておくと危ないからね? いくら、ここが俺たち以外入れないとしても。 ・・・それとも、キラは俺と一緒にいたくない?」
キラは心配そうにアスランを見たが、アスランはキラの頬に軽く指を触れさせると少しだけ悲しそうな表情を作りながら自分の思いをキラに伝えた。 アスランの最後の言葉にハッとしたキラは、慌てて否定をするかのように首を振った。
「僕も一緒にいたいよ? けど、アスの迷惑にはなりたくないだけなの」
「大丈夫。 キラにはPCでの処理を任せるからね? この中でソフトに強いの、俺だけだったから。 だから、その仕事をキラに任せたいんだよ」
アスランは即答で否定したキラの様子に小さくホッとため息をつくと、ニッコリと微笑んだ。
「では、キラが我々執行部の副会長ということになりますの?」
「そうだ。 このことは正式に全校生徒へ連絡を入れる」
ラクスは嬉しそうに微笑みながら新たなメンバーを喜んだ。そんなラクスの微笑みに安心したキラは改めてラクスたちにニッコリと微笑を向けた。 こうして、生徒会に新たなメンバーが参入し、空いていた副会長の枠が埋まった・・・・・。
2006/04/15
アスランは、ラクスとニコルは無害だと判断した模様・・・。
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