| 
       「吾らの主の為に。 
この地を護るタリスマン≠手に入れ、中央に封印されしタリスマン≠吾らの手に。 
吾らの《破滅のメシア》にタリスマン≠捧げ、この星を・・・《天界》を滅ぼす為に」 
 
 
 
 
《天界》を滅ぼすことこそ、吾らの悲願。 
直接攻撃しても、全て天使共に妨害される。 
その妨害を防ぎ、効率的にダメージを与えられるのは・・・《人界》を崩壊させること。 
 
 
 
 
 
 
      ―――― 悪しき者、その力を持って《天界》の壊滅を狙う。 
古代よりの因果。同じ水属性の者たちが今、全力を持ってぶつかり合う・・・・・・ 
 
 
       
       
       
       
       
       
       
apocalypse 
          ― 水を司る者たちの戦い ― 
       
 
       
       
       
       
       
       
       
       
       
 
天空に伸びる蒼き結界。 
水の精霊の力とガブリエルの聖力によって創り出された結界は、 
ガブリエルが敵・・・リヴァイアサンに負けるその時まで崩壊することは無い。 
しかし、ガブリエルの敗北は、 
彼が背後に護る水のタリスマン≠ェリヴァイアサンに奪われるということである。 
 
 
 
 
結界は、天使たちの聖力によって創り出される。 
水のタリスマン≠ヘ水の守護者であるガブリエルが作り出した鉱物。 
その為、タリスマン℃ゥ身を護る結界は彼の聖力によって創り出されたものである。 
 
 
 
その彼が敗北した時、彼らを包む蒼き結界が崩壊することは、 
彼の持つ聖力が即座に回復することが不可能の状態。 
それは同時に、タリスマン≠護る結界も崩壊することに繋がる。 
 
 
結界が崩壊してしまえば、それまで触れることが出来なかった者が触れることが可能になる。 
聖力を使い果たしてしまった天使は、当分そこから動くことが出来ない。 
そのため、タリスマン≠奪取されてしまうのだ。 
 
 
 
 
「・・・精霊の力を借りて結界を創ったか。 この結界が崩壊する時、貴様の死が確定する」 
 
「・・・この闘い。 他の者たちを巻き込むわけにはいかない。 
・・・尤も、他の者たちも我らと同じようなことになっているだろうな」 
 
 
 
 
双方のにらみ合いは、互いの愛刀を出現した時から続いていた。 
結界は封鎖空間ではない為、空気は存在する。 
 
 
 
だが、ガブリエルの創り出した結界は、外からの侵入を許さない。 
 
 
 
 
「消滅しろッ! ガブリエル!!」 
 
 
 
 
沈黙の空間を破ったのは、リヴァイアサンの魔力による攻撃であった。 
 
 
 
目の前に迫ってくる魔力が凝縮された球体を慌てることなく静かに見つめていたガブリエルは、 
徐に刀を持っていない右手を翳した。 
その手に暗黒の球体が触れようとしたその瞬間、 
何かに阻まれた球体は軽く弾かれてパンッと一瞬にして拡散した。 
 
 
 
 
「・・・このような攻撃如きで、俺を倒す? 我らの力も、舐められたものだな」 
 
 
 
 
ガブリエルは冷たい視線をリヴァイアサンに向けつつ、右手を軽く捻った。 
彼の手首には3連になっているブレスレッドが嵌められており、 
シルバーのチェーンに蒼の宝玉が数個付けられていた。 
彼の愛刀・aqua〔アクア〕に嵌め込まれていた宝玉とは違い、 
ブレスレッドになっている物は《人界》にある鉱物・・・エンジェライトであった。 
 
 
《天界》での制御装置は『天界門』を通過する時に解除されるが、 
ガブリエルを含める4大天使は《人界》に影響が無いように《人界》の鉱物から制御装置を精製している。 
制御するものであるから色は本来何色でもいいのだが、 
彼らは自らが封じられている属性の色をよく好んでいた。 
 
 
 
 
彼の手首に嵌められているブレスレッドは、《人界》用の制御装置であった。 
 
 
 
 
「聖力で防御壁を作ったのか!? そんな素振りを見せなかったが・・・いつの間に!?」 
 
「・・・防御壁など最初に教わる基礎。 
天界軍・北軍を預かるこの俺が防御壁などで手間取っては、部下に示しが付かぬだろうが」 
 
 
 
 
不意打ちを狙った自分の攻撃を簡単な動作で防御壁を作り、拡散させてしまったガブリエルに対し、 
驚愕の表情を隠せないリヴァイアサンは苦虫を潰したような表情で 
      片手に持つ大剣・・・turbo〔トゥルボー〕を肩に担いでガブリエルに迫った。 
 
 
      turbo〔トゥルボー〕はその大きさからも分かるとおり、重量が重い。 
その為、普通ならば担いだまま走ることはほぼ不可能である。 
また、長剣や短剣の使い手が訓練もなしに大剣を使うことはできない。 
持てたとしても、バランスを崩して闘いどころではない。 
その為、大剣使いはそれなりの訓練を重ねているのだ。 
 
 
      そんなturbo〔トゥルボー〕を担いで向かってくるリヴァイアサンは、ガブリエルが考える以上の力の持ち主であった。 
 
 
 
しかし、ガブリエルは自分に向かってくるリヴァイアサンを冷静に見つめ、 
彼の出す速度から彼の攻撃を予測していた。 
      リヴァイアサンがturbo〔トゥルボー〕を振り下ろすその瞬間、 
攻撃を予測していたガブリエルは、綺麗に避けた。 
横に避けたガブリエルは、 
避ける瞬間相手が攻撃をしたことで即座に防御ができない体勢の状態を見逃すはずがなく、 
容赦なく剣先を切りつけた。 
 
 
 
―――― 尤も、ガブリエルも本気ではないためリヴァイアサンが避けることは予測済みであったが。 
 
 
 
      ガブリエルは左手に握られたaqua〔アクア〕を握り直し、右手に聖力を集中させた。 
      聖力が凝縮されて淡い光を放つ右手を、aqua〔アクア〕の刃に触れさせ、同調させた。 
 
 
 
 
「貴様、いったい何を企んでいる!?」 
 
「何も? ・・・貴様の力は魔力。 俺の力は聖力。 相反する力。 
それにより、反する力をダメージとして受けると、通常よりもダメージが大きいだけのこと。 
《天界》と《地界》の戦いでは、それが常識だろう? 何より、この地は我が力によって結界を施してある。 
外部からの干渉はもちろん、ここで起こる衝撃も《人界》に影響はない」 
 
 
 
 
aqua〔アクア〕からは淡い蒼の光が発光しており、彼の聖力が同調されたことを証明している。 
 
 
 
 
 
カイアナイトの瞳には先ほど以上の冷たい色を宿し、リヴァイアサンに攻撃を仕掛けた。 
瞬時にリヴァイアサンの懐に踏み込んだガブリエルは、 
      喉元を狙って斬りつけたが後一歩のところで避けられ、turbo〔トゥルボー〕が振り下ろされた。 
常人ならばその時点で真っ二つに裂かれているだろうが、 
      常人ではないガブリエルはaqua〔アクア〕でturbo〔トゥルボー〕を受け止めた。 
 
 
 
 
「ッ!! そんな細身で、吾の剣を受け止めただと!?」 
 
 
 
 
turbo〔トゥルボー〕そのものの重量に加え、リヴァイアサンの体重も加えられた状態だが、 
ガブリエルは表情を変えることなく受け止めた。 
 
      片手に持たれたaqua〔アクア〕でturbo〔トゥルボー〕を受け止めているにも拘らず、 
ピタッと時が止まったかのように動かない。 
 
 
ガブリエルは弾くように軽く上に向かって振った。 
      軽く振られたくらいで弾かれたturbo〔トゥルボー〕に対し、 
サファイアの瞳に屈辱と憎しみの負の感情を宿している。 
 
 
 
そんなリヴァイアサンを終始冷徹な色を宿したカイアナイトの瞳は、 
リヴァイアサンとは対照的に澄んだ色を保っていた。 
 
 
 
 
「・・・貴様は、己の力を過信しすぎている。 様々な戦い方があることを忘れたのか? 
細身でも、貴様の馬鹿力を封じることは可能。 貴様が俺に勝てるはずがない」 
 
 
 
 
ガブリエルは軽くaqua〔アクア〕を振ると、瞬時にリヴァイアサンの懐へ向かった。 
ガブリエルのスピードに追いつけないリヴァイアサンは、 
      一瞬にして自分の懐に入ってきたガブリエルの攻撃を止めるべく、turbo〔トゥルボー〕を盾にした。 
そんなリヴァイアサンの防御を読んでいたのか、 
      ガブリエルは集中攻撃とばかりにturbo〔トゥルボー〕の中央分に狙いを定め、 
数mのずれもなく同じところを幾度となく攻撃を仕掛けた。 
 
 
 
集中砲火のようなガブリエルのキレのある攻撃に、 
防御に徹するしか身を護る手段のないリヴァイアサンだったが、 
ガブリエルの狙うのが己の大剣だと気付き、嘲笑うかのような表情を見せた。 
 
 
 
 
「クックック・・・。 何処を狙っている。 貴様の攻撃は、先ほどから吾に一度も当たってはおらぬぞ」 
 
 
 
 
turbo〔トゥルボー〕を握っていない片方の掌には、 
先ほど不意打ちで狙った時に使用した魔力の凝縮された球体が出現していた。 
 
 
 
「貴様の攻撃は、俺には通用しないといったはずだ。 
そんな小賢しい真似をせずに、堂々と狙ったらどうだ?」 
 
 
 
 
そのことを確認したガブリエルは、右手を球体に向かって翳した。 
ガブリエルに放たれるその瞬間、 
ガブリエルの詠唱なしで作り出された光の球体に飲み込まれるかのように拡散した。 
 
 
 
ガブリエルはリヴァイアサンを挑発するような言い方をし、リヴァイアサンの怒りを煽った。 
ガブリエルの挑発にまんまと乗ったリヴァイアサンは、 
      片手で持っていたturbo〔トゥルボー〕を両手に持ち替え、 
防御に徹していた体勢から力技で攻撃へと転じた。 
 
 
そんなリヴァイアサンに対し、ガブリエルは驚くことなく即座に体制を変え、 
      リヴァイアサンの攻撃を受けながらも狙っていたturbo〔トゥルボー〕の中央を外すことなく攻撃を加え続けた。 
 
 
 
 
ガブリエルの挑発に頭に血の上っているリヴァイアサンは気付かないが、 
      turbo〔トゥルボー〕は彼の力とガブリエルの加える攻撃の負荷が溜まり、ミシミシと小さな音を立てていた。 
 
その音を静かに聴いていたガブリエルは、リヴァイアサンに気付かれないほどの小さな笑みを浮かべ、 
最後とばかりに今まで狙い続けてきた中央部分に渾身の一撃を加えた。 
 
 
 
 
――― バキンッ!! 
 
 
 
 
今まで溜まっていた負荷に加え、ガブリエルの渾身の一撃に耐え切れるはずがなく、 
      turbo〔トゥルボー〕は集中攻撃を受けていた中央から真っ二つに刃が折れた。 
彼らの所有する武器は、鉱物から作り出されるが、その性質は己の属性にあった力によって創り出される。 
その武器が折られた場合、その武器の所有者の力が半減されることが多々ある。 
 
 
 
――― 武器が折られるのはその所有者の敗北が確定した時であるが。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・貴様のその馬鹿力と一点を集中させた俺の攻撃。 
双方の負荷に耐え切れなくなった武器が、折れるのも仕方がない。 
貴様の武器が、紛い物であったことだな。 
・・・いや、それとも貴様自身が己の力を過信し、驕っていた証拠かな?」 
 
「クッ!!」 
 
「・・・この地に宿る水の精霊よ。 我は水の守護者なり。 汝の力、我に貸したまえ。 
我と反する力の持ち主・リヴァイアサン。 この者を拘束したまえ!!」 
 
 
 
 
turbo〔トゥルボー〕が折れたことにより、魔力が半減した状態になったリヴァイアサンはその場に崩れ落ちた。 
立ち上がろうにもガブリエルに向けた膨大な魔力の消耗も手伝ったのか、 
リヴァイアサンには殆ど魔力が残っていない状態であった。 
そんなリヴァイアサンに対し、冷笑を浮かべたガブリエルは、 
水の精霊の力を借りてリヴァイアサンを拘束した。 
水の精霊はガブリエルの言葉に反応し、その場から動かないリヴァイアサンの周りを、 
彼の力では到底解くことのできない拘束する為の魔法陣が描かれた。 
 
 
 
 
「ッ!! このような結界で、吾の力を封じたつもりか!?」 
 
「・・・貴様に、この結界を壊すほどの魔力を持っているわけがない。 
たとえ、壊せたとしても水のタリスマン≠ェ奪われることはない」 
 
 
 
 
 負け惜しみのように告げるリヴァイアサンに対し、ガブリエルは静かに告げた。 
彼は再び水のタリスマン≠封じる為、タリスマン≠フ前に立つとそれまで張っていた結界を解き、 
タリスマン≠フ周りだけに結界を張った。 
ガブリエルの着けているブレスレッドがシャランと音をたて、その音が周りに同調するかのように浸透した。 
音が鳴り止んだ時には、水のタリスマン≠フ周りに新たな結界が張られていた・・・・・・。 
 
 
 
 
 
 
 
 
      ―――― 水のタリスマン≠悪魔から護り抜いた水の守護者。 
      新に結界を張り、再び封印した・・・・・・ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2009/02/01 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
さて、北に位置する北区の決着がつきましたw 
当然、勝者はガブリエルv 
ここでのガブリエルは、天界軍北軍の将ですv 
そのため、防御壁などの基礎的なものは全て、詠唱無しでできます。 
・・・戦いの方は、出鱈目ですが; 
とりあえず、可笑しくないようにはしております。 
・・・実際の戦いでコレはありえないだろ・・・・と思われても、アシカラズ。 
しかし、指摘は大歓迎ですw 
 
 
 
 
 
 
      
 |