「地上に宿る全ての水の精霊たちよ。 今一度、我に力を貸し給え。
この世界を汚す者たちに、汝らの聖なる流水の力にて清めたまえ!」



この地を守るために、創り出した“タリスマン”。
その“タリスマン”を悪しき力に使おうとする者たち。
・・・そんな奴らに手を貸す彼らに、その真意を俺たちは聞きたい・・・。
嘗て、ともに戦った戦友たちに・・・・・・。






―――― 蒼き刀をその手に持ち、遥かなる過去に創り出した“タリスマン”を護る為、三対六枚の翼を広げる。
美しきカイアナイトの瞳には、強き決意を宿して・・・・・・








apocalypse
    ― 水の守護者と邪神 ―











陽は完全にその姿を隠し、闇が辺りを包み込む時刻。
天空に輝く星々の中に一際輝く、満月の夜。
満月は、聖なる力を持つ者たちにとって最も力が増幅される時期。
逆に、その力と反する者たちにとって最も忌み嫌う時期である。










千代田区にある御門一族の屋敷から北へと離れた場所・・・北区の中央付近に到着した由岐は、
音を立てることなく舞い降りた。



「・・・やはり、危惧したように世界全体を守る結界が壊れた衝撃で、封印が脆くなっている」



由岐は目の前に浮上しているひし形の蒼の“タリスマン”を静かに見つめた。
しばらくその“タリスマン”を見つめていた由岐だったが、
近くに感じる邪悪な気配に気付き、背後に“タリスマン”を守る格好で周りを見渡した。



「・・・俺の後を着けて来たのか?」



見渡していた由岐は一点にその視線の先を定めると、普段は聞くことのない冷徹な声を発した。




由岐が冷たい視線を浴びせる先には、
藍色の髪にサファイアの様な青色の瞳を宿し、その背には二対四枚の漆黒の翼を持つ青年が佇んでいた。
その青年は由岐に対してニヤリと醜い笑みを見せると、
徐に右腕を前に突き出した。その腕には漆黒のブレスレッドが禍々しい暗黒の光を放っている。
その光を見つめていた由岐は、不愉快そうな表情を隠そうともせずに見せていた。
そんな由岐の表情を愉快そうに見つめていた青年・・・リヴァイアサンは、
暗黒の光を放つブレスレッドを上下に振るった。






光は徐々に大きな剣の形を象り、
全ての光が消えた時には背丈ほどある大きな剣がリヴァイアサンの右手に握られていた。



全体的に黒い大剣だが、所々に青系の色で装飾が施されているが、どれも黒に近い青で統一されている。



「・・・“水のタリスマン”、渡してもらおうか」

「・・・貴様如きに、何故渡さねばならない? 貴様の使う邪悪な魔力と、俺の聖力。 どちらが強いかな?」

「過去に決着がつけられなかったが・・・。 この場でガブリエル・・・貴様の首を刎ねてやろう!!
貴様の水の力と吾の水の力、どちらが上か・・・この場で決着を!」



リヴァイアサンは自身の持つ大剣の剣先を由岐の喉元に数ミリ近くまで近づけたが、
由岐は気にすることなく目の前にいるリヴァイアサンを睨みつけた。
剣先を突きつけられても動揺しない由岐に対し、
リヴァイアサンは面白くなさそうに舌打ちを打つと、静かに突きつけていた剣を引いた。







引いていく大剣を静かに見つめていた由岐は、
首元に掛けていた十字架のネックレスをその手に取ると、左の掌に乗せ、頭上へと持ち上げた。



「・・・我が名は、ガブリエル。 我、水の守護者なり。
我が声に応え、我が前にその真の姿を現したまえ! aqua〔アクア〕!!」



由岐の言葉は言霊となり、彼の武器の媒介となっている蒼の十字架が反応を始めた。





瞬時に彼を青色の光が包み込み、掌にあった十字架に光が集中し、徐々に形を象っていった。
左手を包み込んでいた光が徐々に消えてゆき、
完全に光が消滅するとそこには日本刀のような刀が収まっていた。



その刀は、柄の部分が青で統一されており、下の部分には青の宝玉が付けられている。
鞘の部分にも青の装飾が施され、その中央に青の宝玉が嵌めこまれており、
その色からして宝玉は精霊によって創り出された物であった。





彼の愛刀が再びその手に出現したと同時に、彼の姿もそれまでの服装と一変し、
先ほどトランス状態になったときに纏っていた衣装を再びその身に纏っていた。
その背には、4大天使の証である三対六枚の翼があった。







先ほどと違う点といえば、彼の髪と瞳の色が変化していることだろう。
海よりも深いコバルトブルーの髪に、美しいカイアナイトの瞳。
その瞳に宿る色は、何処までも澄んでおり、目の前にいるリヴァイアサンを冷徹に見つめた。



「・・・そんな細い刀で吾に刃向かうつもりか? 身の程知らずが」

「・・・闘いなど、武器の大きさで決着がつくものではない。 その器量、そして技術。
それらを全て出し切れる物こそ、強き武器。
大きさだけを主張して、本来の力を出し切れぬ物など、無用な代物。
さて・・・貴様の武器は紛い物か、それとも真なる物か。 このガブリエルが直接確かめてやろう」



由岐・・・ガブリエルは軽く刀を振り、鞘の中央にある宝玉に軽く触れた。
ガブリエルに反応した宝玉は、淡い蒼い光を放った。




その光が消えた時には、鞘の部分が綺麗に無くなっており、穢れのない刃がその姿を現した。



「吾の太刀が紛い物だと? この刃にて、貴様を切り捨ててくれるわ!」

「・・・この地を守護せし水の精霊たちよ。 汝の力、我に貸したまえ。
汝の力にて、この地に結界を創りたまえ!」



ガブリエルが高々と発した言霊はこの地を護る水の精霊たちに届き、
彼が背にして護っている“タリスマン”を中心に蒼の光が辺りを包み込み、強力な結界が張られた・・・・・・。








――――蒼き光、聖なる力によって出現した水の結界。
その中で、聖なる水と邪悪なる水の守護者たちの闘いが、始まろうとしていた・・・・・・











2009/01/01













この章より、管理人が凄く書きたかった部分に突入v
武器召喚など、好みと趣味をふんだんに放り込んでます。
敵味方共に、武器は全7種類。
他にもいいと思える武器があったのはあったのですが・・・・面倒だったので(ぇ)
今年も、妄想に突っ走りますv
どうぞ、宜しくお願いいたします!