出会い ―月時代― @
   ― お引越し先 ―








月に住む住人達は、2種類の人種がいた。【ナチュラル】と【コーディネーター】である。彼らが月にいた頃、その世界は平和だった・・・。

この頃、月にはちょっと有名な少年少女達が住んでいた。この物語は、そんな彼らの幼年時代での出来事である。






桜の咲く頃、一家族がここ月へと引っ越してきたのである。
その家族の妻は月に大切な親友がいるという理由で月へと移住してきたのである。
もちろん、それまで住んでいた地域でのいざこざが引越しに直接関係があるということでもあったが・・・。



「キラ? 今日はお隣にご挨拶をしに行くわよ? 着替えてらっしゃいな」


「おとなり? かあさまのおともだちのおうち?」


「そうよ? キラも行きたいって言っていたでしょう? それともここでお留守番しておく? ・・・ちゃんと着替えてきたら、連れて行くわよ?」


「行く!! かあさま、ちょっとまっていてねっ!!」



少女は母の言うとおりに着替えるため、先ほど片付けたばかりの新しい自分の部屋へと急ぎ、着替え始めた。
少女の着ていた洋服は、小さいながらにも両親の手伝いをしていたために汚れてしまい、今は洗濯機の中である。



「・・・母上、僕も一緒に行くよ。 母上のご友人を疑うつもりは無いけど、確かキラと同じくらいの息子さんがいるんだよね?」



キラが自室に入った頃、リビングで父の手伝いをしていた少年が顔を出した。



「えぇ、いるわよ? ・・・どうかしたの?」


「・・・そいつが、キラをいじめないとは限らないでしょう? だから、僕がその真意を確かめようかぁって。 ・・・誰であろうと、キラをいじめるようなやつは僕許さないからね」



少年は、妹を一番可愛がっていた。
彼らが一ヶ月前まで住んでいた地域・・・・【ナチュラル】と【コーディネーター】が唯一地上で住める場所である“オーブ”でのことが妹思いである彼に拍車をかけていたこともあった。
彼らはちょっと特殊な家族でもある。
彼らの両親は【ナチュラル】である。
しかし、少年と少女は【コーディネーター】であった。つまり、一世代目である。

それ故に少女は【ナチュラル】と【コーディネーター】の壁が余り理解できなかった。
彼女にとっては【ナチュラル】は両親であり、【コーディネーター】は兄だからであった。
しかし、彼らのいた“オーブ”は中立といっていてもやはり【ナチュラル】が多く、少女達の能力を妬む子どもも少なくはなかった。

そんな彼女の支えとなったのが歳の離れた兄や両親である。
だが彼らは、それらを全体的に感じ、少女をその場所から連れ出すことを決めたのである。



「かあさま、着替えてきたよ!! ・・・にぃさま?」



少女は急いで階段を駆け下りてきた。そんな時、玄関ではすでに準備を終えた兄の姿がありびっくりした少女は少年に尋ねたのである。



「キラ、僕も一緒に行くよ? 大丈夫だからね」

びっくりした顔をしている妹の頭を優しく撫で、少女が靴をはくまでその場に留まっていた。
そんな仲のよい兄妹を見ていた彼らの母もまた、微笑んでいた。









2005/06/19(拍手にup)
2006/04/06













小話です。
続きます・・・;
ここでは、『自分の居場所』の設定で進みます。
今回は、月での出会いです。
☆補足☆
ここでは兄、妹と出ていますが、
キラがスバルを義兄と認識するのは幼年学校入学以降です。
それまでは兄と思っています。