「ずっと、一緒にいるよ。 君が、不安がらないように。 君が、安心して眠れるように・・・・・・」



全てではないにしろ、この状況で大体のことは把握してしまった。
元々、優秀であることは生まれた時から共に育ってきた俺だから知っている事実。
そのことを知らない奴らは、本人の前で無意識だから性質が悪い言葉という刃を向ける。
まだ・・・ここには、そんな低レベルなことをする愚か者はいない。
そのことを喜ぶべきなのだが、油断は出来ない。






―――― 愛おしい少女を護る為ならば・・・例えどんな小さな火種でも、俺は容赦しない。












sparkle
  ― 始まりの日(後編) ―











アスランは、幼い子どもが身に着けている洋服に見覚えがあった。
その洋服は目の前にいる幼い子どものお気に入りの一つで、
アスランもまたその洋服を着る幼い子どもの姿が大好きだったことを覚えていたのだ。



「あしゅ? どう、したの?」

「・・・キラ、一緒にお風呂に入ろうか。 そのままだと嫌だろう?
お洋服は、俺が用意してあげるから」



アスランは幼い子どもに悟られないように驚いた表情を一瞬にしていつものような笑みに戻し、
血の付着して時間が経った為に硬直した髪を優しく梳いた。



「あしゅといっしょ?」

「あぁ。 その後、父上たちに会いに行こうか。 きっと、喜ばれる」

「ぱとバパ! れのあママもいっしょ?」

「きっと一緒におられるよ。 キラのことを凄く心配していたからね。
大丈夫。 キラのことは、俺が絶対に守るから」



血が所々に付着しているものの、
幼い子どもの本来の髪である鳶色の髪とアメジストを宿す瞳の光は失われていないことに安堵したアスランは、
幼い子ども・・・キラ=ヒビキを優しく抱き締めた。
そんなアスランの行動に驚いたキラだったが、大好きなアスランに抱き締められて嬉しいのか、
幸せそうな笑みを浮かべた。



アスランから部屋に備えられているお風呂に連れて行かれ、
全身に付着している血痕を綺麗に洗い流してもらったキラは、
お風呂に入る前にアスランが用意した彼の普段着をとりあえず着せ、
濡れた髪から優しくタオルで水滴を拭かれた。
アスランに対して絶対的信頼を寄せているキラは、アスランの行動に嫌がる仕草を見せず、
嬉しそうに笑っていた。
血痕の付いた服を処分したアスランは、
念のためにブリッジにいる上司に拾ってきた民間ポットにいた人物をつれていると報告し、
キラを抱き上げて部屋に再びロックをかけると、そのままブリッジに向かった。





ブリッジに着いたアスランはキラを抱いたままの格好で入室した。
本来ならば入室する前に下に降ろさなければならないが、
先ほど見た服に付着して硬直していた血痕のことを思い出したアスランは、
キラが不安がって混乱することを避けるためにもそのままの格好を選んだ。



「アスラン=ザラ。 保護した民間人であるキラ=ヒビキを連れて参りました」

「ご苦労。 ・・・君の知り合いだったとは、驚いたよ」



アスランはブリッジの中央に座る仮面を被る上司・・・ラゥ=ル=クルーゼに敬礼を向けた。
そんなアスランに視線を向けたクルーゼは、アスランの抱かれているキラを見つけた。



「一時期、月に住んでいました時の隣人です。 キラ? ご挨拶は?」

「? はじめましゅ。 きら=ひびきでしゅ」



アスランは、ニッコリと微笑を浮かべながら自分の抱く幼い子ども・・・キラに挨拶をするように促した。
そんな子どもを対応するアスランの姿にも驚いたが、
クルーゼを始めとするブリッジにいるクルーたちはアスランの表情変化に驚きを隠せずにいた。
キラはアスランの微笑を見ながらコクンと大きく頷き、きちんと挨拶をした。
尤も、まだ言葉をきちんと話せないが・・・。



「よくできました。
・・・隊長。 キラが見つかったことを父・・国防委員長にお伝えしたいのですが、
通信開いてもよろしいでしょうか?」

「構わない。 私も国防委員長にご報告があるからね」



アスランは挨拶をしたキラの頭を優しく撫でた。
クルーぜの命令によりオペレーターは本国に通信を接続した。
接続された通信は、すぐさま前方にある巨大モニターに転送され、
真っ黒かったモニターに光が入るとそこには表情の固い男性が映っていた。



「国防委員長、定期報告のため通信開かさせていただきました。
本国からの要請のため、急遽ブェザリウス・ガモフを待機させ、
私単独ではありましたが目標であるメンデルに向かいましたところ、
宇宙から見てもわかるほどの爆発が起こっておりました。
・・・・生存者の確認はまだいたしてはおりませんが・・・一命を除き、絶望的かと」


《!! ・・・そうか。 その、一命とは誰なんだ?》


「・・・国防委員長・・いいえ、父上。 そのことは、俺からお伝えいたします」



「国防委員長、定期報告のため通信開かさせていただきました。
本国からの要請のため、急遽ブェザリウス・ガモフを待機させ、
私単独ではありましたが目標であるメンデルに向かいましたところ、
宇宙から見てもわかるほどの爆発が起こっておりました。
・・・・生存者の確認はまだいたしてはおりませんが・・・一命を除き、絶望的かと」


《!! ・・・そうか。 その、一命とは誰なんだ?》


「・・・国防委員長・・いいえ、父上。 そのことは、俺からお伝えいたします」



クルーゼは淡々と今までのことを簡単にまとめて目の前に映る人物に報告した。
モニターに映っている人物こそ、彼ら軍属のトップでありアスランの実父でもあるパトリック=ザラであった。




《アスラン? なぜ、お前がそこにいる》


「・・・これから説明いたしますよ。 キラ、目の前にいる人・・・覚えている?」

「う? あしゅ! ? ぱとパパ!」



父の発言に対してもスッパリと切り捨てたアスランは、足元にいたキラを優しく抱き上げ、
幼いキラにも目の前にあるモニターが見やすいように抱き抱えた。




《キラちゃん!? アスランッ! 生き残りとは、キラちゃんのことか!》


「えぇ。そうですよ。 トリィに内蔵していたデータがそれを証明しました。
そのデータ、取り出しましたので・・・そちらに転送します。
キラを逃がしたのは、ヴィア小母上だったようです」



アスランは、キラを抱きしめる腕に彼女が苦しがらない程度に無意識にも緩めつつ、大切そうに抱き締めた。
そんなアスランの抱き締めに、キラは嬉しそうに微笑み、
アスランに対して甘えるように自ら抱き締める腕に擦り寄った。
そんな2人の様子を通信機越しに見ていたパトリックだったが、
アスランから送られてきたデータを見るとその表情に怒りが浮かび上がってきた。




《おのれ、地球軍め!! 何の権利があって同胞もいるメンデルを襲うのだッ!》


「・・・父上のお怒りは尤もです。
私も、今回のことで少々・・・いえ、結構怒っていますからね。
キラの後見ですが・・・父上にお頼みしたいと思いました。 父上の方が、適任だと思ったので」


《そのようなこと、言われるまでもないわ。 すぐに、手続きを行っておこう。
帰還次第、キラちゃんを一度評議会に連れてくるように》


「了解しました。 キラ、本国に戻ったら父上と母上にお会いするからね?」



転送したデータを見てパトリックの顔色が変化したことを他人事のように見ていたアスランは、
すぐさま彼にとっての本題であるキラの身柄を息子である自身よりも溺愛する自分の父に約束させた。
そんな息子の言葉に、パトリックは当然だと言わんばかりに頷きで了承した。


予想通りだった父の言葉にアスランは、
頷きで返事を返すと自分の腕の中で聞いていたキラに視線を戻すとニッコリと微笑み、
キラが安心するように優しく撫でた。



「ぱとパパとれのあママ?」

「そうだよ。 キラは俺の家族になるんだ」



アスランの言葉を理解してるかは微妙ではあるが、
嬉しそうに微笑を浮かべるキラにブリッジにいたクルーゼを始めとするクルーたちは、
目の前にいる幼い子どもが本当にアスランを信頼していることが目の前の光景で理解した。




《今回の任務は終了した。 一度、本国に戻り休暇を与える》


「ありがとうございます、国防委員長閣下。 ・・・アスラン、キラ嬢の世話は君に一任する。
君が、適切のようだからね」

「了解」



パトリックは息子と娘となるキラにもう一度視線を送ると、そのまま通信を切り、
ブリッジには再び漆黒に染まったスクリーンが戻った。



クルーゼからの命令を受けたアスランは、
既に要件を済ませたとばかりにキラを抱き締めたままブリッジを退出し、自室へと戻って行った・・・・・・。






言われるまでもない。
キラの世話は、昔から俺の特権。
今更、誰にも譲る気は更々ない。
ただでさえ、死への恐怖と目の前で亡くなったご両親のことがあるんだ。
下手に他人に触れられると、その恐怖が襲ってくるかもしれない。
そんなの、繊細な心を持つキラに耐えらるはずがない。
キラは、絶対俺が守ってみせる・・・・・。






――――― 紅の騎士は、その腕に抱く自身の平和の象徴にして“光”の存在でもある子どもを守ると、
その胸に誓いを立てた・・・・・。








END.








2007/07/01
Web拍手より再録。















当サイト初のちったいですv
元々は、企画の予定で書いてたものですが・・・
拍手のストックがないことにより、急遽拍手用に流用;
キラ・・何歳くらいがいいでしょうか?理想的には、3〜5歳の間なんですけど;
キラの口調が幼いのは、仕方ないです;
私的に、キラはきちんと話せるようになったのは
6〜8歳くらいだと思っておりますv