「ザフト軍に告ぐ!


――――こちらは地球連合軍所属艦アークエンジェル!


当艦は現在プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの令嬢ラクス・クラインを保護している!



偶発的に救命ポッドを発見し人道的な立場から保護したものであるが、


以降、当艦へ攻撃が加えられた場合、それは貴艦のラクス・クライン嬢に対する責任放棄と判断し、当方は自由意志でこの件を処理するつもりであることをお伝えする」



地球軍側が戦況に不利になったと感じられた際にこの放送が全周波で流される。

この瞬間、キラの故意に隠されたもうひとつの人格が現れる。

傍目には目の前のイージスと死闘を繰り返しているように見せかけ、通信を開いていた。



「やぁ、アスラン 聞こえる?」



こういえば、モニター上のアスランは驚いた表情をしていた。



「キラ・・・・・まさか・・・?」



そう告げるアスラン。



信じたくないらしいが事実だった。



「うん。目覚めちゃったよ。


あいつら、酷いでしょう?


アスランが僕の“本当の人格”を潜在意識の中に埋め込んでいてくれてたのに・・・・・・・


あいつら・・・・・自分で自分の首絞めちゃってさ・・・馬鹿だよね。


僕はラクスとそちらに戻るよ。


アス迎えに来てよ。3時間後に生命装置以外全て切るからさ〜


僕を怒らせた罪、しっかりと理解してもらうからさ。


待ってるからね。」



そういってストライクは反転し、大天使の名を戴く艦に戻っていく。

その姿を見つめ、アスランは・・・・・



「ナチュラルも馬鹿なことを!!


キラを怒らせるなんてな。


しょうがないか・・・・・


俺はすべきことをしよう。」



そういって反転し、ヴェサリウスに戻っていく。

アークエンジェルのブリッジでは



「とりあえずの危機は回避したものの・・・・・


状況に何の変わりもないわね。」

そうマリューが告げ、ナタルが噛み付くように



「この間に体制を立て直すことはできます。


現時点ではそれがもっとも重要かと。」

そう告げる。

同意の意を告げるように



「ええ・・・・・分かってるわ。」



そんなやり取りが行われていた。

まさか、この数時間後あんなことになるなど誰も知らなかった。

キラはナチュラルへの怒りを極力隠しながら廊下を歩き続き、ラクスに会いに行く。



「ラクス・・・・・3時間後アスランたちが迎えに来ます。


それまでは大人しく、この部屋からは出ないでね。


ハロに鍵開けさせないでね。


ラクスがこれ以上人質になるのは僕にとって困るんだ。」



そういえば、ラクスは驚いたように眉をしかめていたが、



「まさか!?キラ・・・・・?」



そう告げる。

「うん。戻ってるよ。


僕は本来の心のままに動くから。


このままいたくないしね。


人でなしは許せないんだ。」



そう告げれば、ラクスは



「分かりましたわ。


キラの作戦の成功をお祈りしてます。


時間までは私はここで待機、でよろしいですわね?」



そう告げ、別れる。






そのまま医務室の方に向かう。

ラクスの部屋でかなり時間を潰したので約束の時間まであと少し。

やっと生身のアスランと会えるのだ。

嬉しいと思って何が悪いのか。

そんなことを考えつつ着いた医務室の中では泣いてる女性の声がする。





フレイだな・・・・・





そう思い、中に入るキラ。



「いや〜〜〜〜〜っ!!!


パパァ〜〜〜


ああ・・・・・嘘よ!!!


そんなの嘘よ・・・・・


嘘ぉ〜〜〜・・・・・」



サイに抱きしめられながら泣き叫ぶフレイ。

そんなフレイにキラは哀れみを浮かべることもなく、内心笑っていたのを隠しながら



「・・・・・フレイ」



そう告げる。

その声がするほうをフレイは見た。



「嘘つきっ!!


大丈夫って言ったじゃない!!


僕たちも行くから大丈夫だって!!


なんでパパの船を守ってくれなかったの!?


・・・・・なんでアイツらをやっつけてくれなかったのよ!!!!!」



このときを境に彼らの生活が一変してしまうことにキラ以外知らなかった。












The Blue Sky』の遠野真澄さまに差し上げた小説の1話です。
2話か、3話で終わる予定です。
黒キラ、黒ザラです。
リクエスト通りになっているか不安ですが・・・・・
ラクスたちの奪還となってます。
あくまで奪還(笑)
こんな小説で申し訳ありませんが、どうぞお受け取り下さい。