【ブルーリボン】
果てない闇の中、僕は宇宙を漂っていた。 無数の星たちと、無残な残骸。 全てが終わりを告げた。 終わりなき戦いと思われた全てに終止符が打たれた。 遠くで光る物。 君なんだね。やっと…僕たちの未来に平和の二文字が現実となって来るんだね…。
――――― ア ス ラ ン ―――――
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相変わらずアスランは煩いんだからっ! ど〜せ僕がとろいからいけないんでしょ!?もぅ!知ってるなら手伝ってくれればいいのにねぇ? 傷ついた身体が癒えた頃、大切な兄弟。お姉ちゃんのカガリから、ブルーのリボンのついた鍵を渡された。 『お前には誰よりも幸せになってほしい。それにはアスランとこれが必要だろ?』 そう言って、意味深な笑顔と一緒に受け取った小さな鍵。そして地図。 オーヴの郊外へ続く道が印され、【幸せにな】のメッセージがあった。 アスランの運転する車も中で、その鍵を何度も見ては、本当の幸せの始まりを確信する僕がいた。
――――今までだって幸せだったけど、きっとそれ以上なんだ。
心なしか運転するアスランも、穏やかで幸福そうに見えたけど…?僕の考えすぎかな? 車が音を立てて止まると、小さなコテージの様な建物がすぐ目の前だった。 リボンの揺れる鍵を鍵穴に押し込むと、カチャリと音が鳴り、扉が開いた。 それが僕とアスランの新居だった。 で、早速引越しの片付けということになり、数少ない荷物の整理を始めたんだけど…。 もぉ〜アスランってば煩いの何の!! 荷物ばらしてるとつい、昔の物とか出てきちゃって見ちゃったりするでしょ? それでつい…写真なんか見つけちゃったから思わず魅入っちゃってさ…そしたらアスランってば、 「コラ!まったくお前は何やってるんだよ!」
とか怒るんだもん。 そりゃ手を休めてる僕がいけないのはわかるけど、先に終わったんだったら手伝ってくれたっていいじゃないね?僕が終わるの椅子に座って見てるなんて、アスランってば本当に意地悪なんだから!
「終わったぁ〜!」
「はい。お疲れ様」
アスランに怒られるのはやっぱり嫌だから、黙々とやってなんとか片付け終了!そしたらアスランが暖かいココア持ってきてくれたんだ。 僕が片付け終わるタイミング見て持ってきてくれるなんて、やっぱり…優しいのかな…? 春になったとは言えども、埃が舞わないように窓全開で片付けてたから、指先とが冷たくなってて、アスランの淹れてくれたココアがとても美味しい。
「キラ。こっちへおいで」
カップにふーふーと息を吹きかけていた僕を、アスランが呼んでる。 手は隣に座るように言ってる。もう…アスランってクールそうに見えて意外とベタベタしたがるんだよね。 ……ヤじゃない僕も僕だけど。
「飲んだら買い物行こうな」
隣に腰掛けた僕を、極自然と抱き寄せるように腰に手を廻すアスラン。 アスランには内緒だけど、こうやってちょこっとくっつくの…好きなんだ…////
「何買うの?」
「夕食の買出しだよ。近くのお店まで散歩ついでに丁度いい距離なんだ」
「そうなんだ?アスラン調べたの?」
「お前がもたくたやってる間にな」
ど〜りで時々姿を消して何かしてたんだ。 用意周到なアスランは、うんマメだよね?ずぼらな僕にはアスランみたいなしっかりした人がいないとダメみたい。
「料理…するの?」
「当たり前だろ?ここには俺とキラしかいないんだから」
「僕…料理なんてほとんどしたことないよ〜」
せいぜい家庭科の授業でくらい。それも何年も前だし。でもアスランだって軍にいたし料理なんてできるわけないはずなんだけど…。
「お前の母親ほど上手くはないが、俺だって料理くらいはできるぞ」
「うそぉ〜〜??!!」
「信じてないな…ったく、一緒に作るのも楽しいからキラも練習しような」
「僕食べる方が…」
「却下だ」
「だよねぇ〜」
アスランと料理…想像も出来ないんだけど。 飲み干したカップをアスランがキッチンに片付けに行くと、そのままはおる上着を持って来る。ホントにマメだね。アスランってば。 なんか大切にされてるって感じがして気持ちがいい。
「うわぁ〜綺麗だね!」
「あぁ」
僕たちの家は、少し小高い丘の上にある。 夕方に入ったこの時間、オレンジ色に光ながら沈んでいく夕陽がとても、とても綺麗だった。
「宇宙も綺麗だったけど…地球の方が僕は好きだな」
「俺もだ」
「…なんか生きてるよね?」
「あぁ…命の力を感じるよ」
僕が思ってることと同じだよアスラン…。 宇宙も綺麗なんだ。でもどこか怖くて寂しくて悲しい。あそこには生きることと死ぬことの境界線が見えないんだよ。
「なぁキラ?」
「うん?」
「手、繋ごうか…」
「アスラン////…うん」
夕陽を浴びて伸びる影が、重なる。 なんだか照れくさくて恥かしいよ…。
「実はさ」
繋いだ手にぎゅっと力を込めてアスランが照れくさそうに言う。
「俺、こうやって手を繋ぎながらキラと買い物するの、ずっと夢だったんだ」
もぉ…アスランってば…バカ…。
「明日も、明後日も、それからずっと先も…僕と手を繋いでいてくれる?」
「勿論だ!」
「約束だよ――――」
ポケットにはブルーのリボンがついた鍵がカチャカチャと音を鳴らしている。 僕とアスランを結んでいるように……。
fin
40000hit御礼企画です♪ フリーSs vol.1 akiraサマよりリク【アスvキララヴラヴ同棲】
刃月様、−Zero
System−
刃月様より頂いたフリー小説(4万hit)ですv素敵でしたので頂いてきましたvv
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